2020年11月27日金曜日

第10回 CSJ化学フェスタで受賞

第10回 CSJ化学フェスタにて稲津さん、Augie君、森合君の3名がそれぞれ受賞をしました。おめでとうございます!

優秀ポスター発表賞

  • 稲津 美紀(M1)透過型電子顕微鏡を用いた金属間ヘテロ結合の動的観察
  • Atqa Augie(M2)Atom-Dynamics of Early-4d/5d-Transition Metal Clusters

博士課程学生オーラルセッション 博士オーラル賞

  • 森合 達也(D1)貨幣金属合金クラスター触媒によるシクロヘキセンの選択的酸化反応

2020年11月10日火曜日

分子科学会 オンライン討論会 学生優秀講演賞受賞

2020年分子科学会オンライン討論会でM2の田谷さんが学生優秀講演賞を受賞しました。おめでとうございます。

2020年11月7日土曜日

中心の銀が白金サブナノクラスターの室温燐光を18倍に向上

Y. Akanuma, T. Imaoka, H. Sato, K. Yamamoto
Angew. Chem. Int. Ed. 2021, 60, 4551-4554.

リガンドで保護された金属ナノクラスターの発光における金属コア(金属-金属相互作用)とシェル(金属-リガンド相互作用)の役割については議論が続いている。我々は、白金-チオレート錯体およびその銀イオン包含錯体(銀ドープ白金サブナノクラスター)の凝集誘起室温燐光を発見した。銀イオンの包含により、発光量子収率が18倍に向上した。光物理的測定では、銀ドープ白金サブナノクラスターの非放射減衰速度が遅くなることが示された。DFT計算により、主にAgのs軌道とPtのd軌道からなるLUMOが、励起状態での構造歪みを抑制する重要な役割を果たしていることが明らかになった。この研究は、原子レベルで精密に制御された多金属発光ナノクラスターの分子軌道に基づいた設計戦略の研究を刺激することを期待している。

Silver in the Center Enhances Room-Temperature Phosphorescence of a Platinum Sub-nanocluster by 18 Times

There has been controversy surrounding the roles of the metal core (metal–metal interaction) and the shell (metal–ligand interaction) in photoluminescence of ligand-protected metal nanoclusters. We have discovered aggregation-induced room-temperature phosphorescence of a platinum–thiolate complex and its silver ion inclusion complex (a silver-doped platinum sub-nanocluster). The inclusion of silver ion boosted the photoluminescent quantum yield by 18 times. Photophysical measurements indicate that the rate of nonradiative decay was slower for the silver-doped platinum sub-nanocluster. DFT calculations showed that the LUMO, which had the main contribution from Ag s-orbital and Pt d-orbitals, played a critical role in suppressing the structural distortion at the excited state. This work will hopefully stimulate more research on designing strategies based on molecular orbitals of atomicity-precise luminescent multimetallic nanoclusters. 

2020年9月8日火曜日

異なる原子数の順次スクリーニング技術による量子材料探索

T. Tsukamoto, A. Kuzume, M. Nagasaka, T. Kambe, K. Yamamoto
J. Am. Chem. Soc. 2020, 142, 19078-19084.

サブナノ粒子(SNPs)は、極めて小さい粒子サイズが量子スケールにまで及ぶため、独自の特性と機能を示す。SNPsの合成には、原子性と組成の精密な制御が必要とされるが、これまでその達成は困難であった。私たちは最近、マクロ分子テンプレートを使用してこのような原子レベルの制御を実現する「原子ハイブリッド化法(AHM)」を開発した。革新的な量子材料の探求において、次のステップは機能的なサブナノ材料の実用的な創出が中心課題となる。本研究では、最新のAHMを用いて、順次組成を持つ単純なインジウム-スズ二元系に注目し、機能性SNPsの新しいスクリーニング技術を確立した。その結果、特定の組成でのみ熱力学的に不安定なインジウム種が生成され、耐久性のある発光機能をもたらすことが明らかになった。このようなサブナノサイズの物質における現象は、未知の量子材料の分野の発展において重要な役割を果たすであろう。

Quantum Materials Exploration by Sequential Screening Technique of Heteroatomicity

Subnanoparticles (SNPs) exhibit unique properties and functions due to their extremely small particle sizes which extend into the quantum scale. Although the synthesis of SNPs requiring precise control of atomicity and composition has not been accomplished, we recently developed an atom-hybridization method (AHM) that realizes such atomic-level control using a macromolecular template. As a next step in the quest for innovative quantum materials, the practical creation of functional subnanomaterials will become a central subject. In this study, we established a new screening technique for functional SNPs by focusing on the simple indium–tin binary system with sequential compositions using the latest AHM. As a result, it was revealed that a thermodynamically unstable indium species was produced only at a certain composition leading to a durable luminescent function. Such a phenomenon in subnanosized substances will play an important role in the development of the as-yet-unknown field of quantum materials.

2020年8月26日水曜日

貴金属多金属1ナノメートル触媒によるオレフィンの選択的ヒドロペルオキシド化の実現

T. Moriai, T. Tsukamoto, M. Tanabe, T. Kambe, K. Yamamoto
Angew. Chem. Int. Ed. 2020, 59, 23051-23055.

サブナノメートル(約1 nm)スケールの粒子科学は、世界中の注目を集めている。しかし、サブナノ粒子(SNPs)の精密な合成の技術的難しさのため、未踏の領域であった。最近、適切に設計されたマクロ分子をテンプレートとして使用することにより、SNPsを精密に合成する「原子ハイブリッド化法(AHM)」を開発した。現在、AHMによって得られた合金SNPsの化学反応性を調査した。貴金属元素に注目し、これらのSNPsが触媒するオレフィンの酸化反応を系統的に評価した。SNPsは、従来の触媒よりも穏やかな条件下でも高い触媒性能を示した。さらに、複数の元素のハイブリッド化により、ヒドロペルオキシド誘導体の形成に対するターンオーバー周波数と選択性が向上した。材料の小型化とハイブリッド化の観点から、一般に不安定なヒドロペルオキシドを提供するユニークな量子サイズ触媒について議論する。

Selective Hydroperoxygenation of Olefins Realized by a Coinage Multimetallic 1-Nanometer Catalyst

The science of particles on a sub-nanometer (ca. 1 nm) scale has attracted worldwide attention. However, it has remained unexplored because of the technical difficulty in the precise synthesis of sub-nanoparticles (SNPs). We recently developed the “atom-hybridization method (AHM)” for the precise synthesis of SNPs by using a suitably designed macromolecule as a template. We have now investigated the chemical reactivity of alloy SNPs obtained by the AHM. Focusing on the coinage metal elements, we systematically evaluated the oxidation reaction of an olefin catalyzed by these SNPs. The SNPs showed high catalytic performance even under milder conditions than those used with conventional catalysts. Additionally, the hybridization of multiple elements enhanced the turnover frequency and the selectivity for the formation of the hydroperoxide derivative. We discuss the unique quantum-sized catalysts providing generally unstable hydroperoxides from the viewpoint of the miniaturization and hybridization of materials.

2020年5月21日木曜日

高分子学会賞 受賞

山元教授が「2019年度高分子学会賞」を受賞しました。

受賞研究題目:剛直樹状高分子の機能と応用
受賞者:山元 公寿


2020年5月7日木曜日

卒業生からのメッセージ(2002年卒 松藤さん)

今の山元研はとても大きな充実した研究室になっていますが、私の在籍時(@慶應義塾大学)はまだ小規模研究室でした。何しろ、今岡先生(同期です)が学部~修士生だった頃ですから!山元先生は当時から物事をアピールするためのポイント、着眼点のユニーク性をハッキリ主張する姿勢を貫かれており、大変勉強になりました。

修士卒業後は日用品メーカーに就職しました。どんな人でも必ず毎日使うモノを通して見ず知らずの人の生活に「ちょっとの良いコト」をもたらすのは素敵だなと思ってのことでした。

入社後はずっとヘアケア商品開発に携わっています。入社時に印象深かったのは、院卒だけでなく美容師など様々なバックグラウンドの社員がいたことです。大学の雰囲気と異なり色んな価値観の人がいることが、一般のお客様の気持ちも考えやすい雰囲気だと感じ、すぐに大変気に入りました。海外メンバーとの交流機会も多くあり、国内外のお風呂場を見学したり、各国消費者の考え方や好みを学んだりしました。やはりお客様のツボをつかんでモノ作りをし、実際に評価頂けた時は嬉しかったです。

一方、思うようなモノが作れなかったり、アイデアが実現出来なかったりする情けなさもたくさん経験しました。そんな時には、常に周りの明るくプロフェッショナルな諸先輩方から多くを教わりました。自分が影響できることに集中しつつ、必要な助けを判断し、結果に対して責任を持つという姿勢を学んだと思います。

最近はいくつかの製品やプロジェクトに関わる立場となり、会社の強み弱みもより理解できてきて、今まで以上に、本当に価値あることに力を注がねばと思う日々です。

気づいたら入社からもう20年近く経ち、時代変化も感じます。例えば、私の入社時には院卒女性の先輩が非常に少なく、自分が将来、仕事と家庭を両立している姿なんて全く想像もできませんでした。実際には多くの方の理解とサポートで、仕事をしながら子供も無事大きくなり、本当に有難いと思います。今や、周りを見ると院卒女性社員が部署の半数以上を占めていて、子育てと仕事の両立を当然のように思える雰囲気が出来ているのですから、本当に大きな変化です。海外との交流の仕方も、商品のトレンドも大きく変わりました。

今は新型コロナウイルスが世の中を大きく揺さぶっています。様々な混乱もありますが、終息後の世界は色々な考え方、優先順位が大きく変わっていることでしょう。既存のフレームが揺らぐときこそ、今までしがらみが邪魔して実現できなかったことが可能になるかもしれません。だから個々人の「こうなるといいな」という想いはどうぞ大切に育ててください。山元研で日々鍛えている皆さんなら、今の研究に限らず、色んなことが実現可能と思います。影ながら応援しています。

2002年修士卒 
花王㈱ ヘアケア研究所
松藤 晶子 

2020年3月6日金曜日

日本化学会春季年会「若い世代の特別講演会」

神戸助教が日本化学会第100春季年会にて「若い世代の特別講演会」講演者に選ばれました。

2020年2月26日水曜日

化学工業日報「ガリウム原子13個クラスター」

Adv. Mater.誌に掲載された「ガリウム原子13個クラスター」に関する記事が2月26日発行の化学工業日報(4面)に掲載されました。

化学工業日報 (2020年2月26日 4面)

nanotoday "Raman spectroscopy stretches beyond the nanoscale"

Sci. Adv.誌に掲載された「高感度ラマンスペクトル計測」に関する記事がElsevierのジャーナルnanotodayのNews記事として特集されました。


nanotoday, 2020, 31, 100852 (2020年2月26日)

2020年2月25日火曜日

日経産業新聞「医薬合成用触媒」

ACS Nano誌に掲載された「酸化銅サブナノ粒子触媒」に関する記事が2月25日発行の日経産業新聞(7面)に掲載されました。


日経産業新聞 (2020年2月25日 7面)

2020年2月21日金曜日

デンドリマー内の超原子ガリウムクラスター:原子数に依存する独自の剛性と反応性

T. Kambe, A. Watanabe, M. Li, T. Tsukamoto, T. Imaoka, K. Yamamoto
Adv. Mater. 2020, 32, 1907167.

超原子は他の元素の代替としての可能性があるため、研究されてきた。超原子の溶液相合成は、その利用可能性を実現するために注目を集めている。しかし、従来のアプローチは基本的に単一クラスターの形成に限られていた。ここでは、超原子を調査し、これらの超原子内の原子価電子の数を、存在するガリウム原子の数を設計することで変化させた。デンドリマーテンプレート法に基づいて、3、12、13、およびその他の数の原子からなるクラスターが合成された。Ga13のハロゲンのような超原子特性は、他のクラスターとは全く異なる構造的および電気化学的な観察によって明らかにされた。2Pおよび1P超原子軌道をそれぞれ満たすことができる13および3原子のガリウムクラスターは、異なる反応性を示す。3原子のガリウムクラスターは、未占有軌道のエネルギーレベルの低下によりGa3H2−に還元されることが示唆されている。これらのガリウムクラスターの結果は、超原子の候補を提供する。

Superatomic Gallium Clusters in Dendrimers: Unique Rigidity and Reactivity Depending on their Atomicity

Superatoms have been investigated due to their possible substitution for other elements. The solution-phase synthesis of superatoms has attracted attention to realize the availability of superatoms. However, the previous approach is basically limited to the formation of a single cluster. Here, superatoms are investigated and the number of valence electrons in these superatoms is changed by designing the number of gallium atoms present. Based on the dendrimer template method, clusters consisting of 3, 12, 13, and other numbers of atoms have been synthesized. The halogen-like superatomic nature of Ga13 is structurally and electrochemically observed as completely different to the other clusters. The gallium clusters of 13 and 3 atoms, which can fill the 2P and 1P superatomic orbitals, respectively, exhibit different reactivities. The 3-atom gallium cluster is suggested as being reduced to Ga3H2− due to the lower shift of energy levels in the unoccupied orbitals. The results for these gallium clusters provide candidates for superatoms.

2020年2月13日木曜日

化学工業日報「酸化銅サブナノ粒子触媒」

ACS Nano誌に掲載された「酸化銅サブナノ粒子触媒」に関する記事が2月13日発行の化学工業日報(5面)に掲載されました。

化学工業日報 (2020年2月13日 5面)

2020年2月6日木曜日

超小型銅酸化物粒子の触媒性能の向上

K. Sonobe, M. Tanabe, K. Yamamoto
ACS Nano 2020, 14, 1804-1810.

超小型粒子サイズ(<1 nm)のサブナノ粒子(SNPs)は、ナノ粒子よりも優れた触媒活性を提供する可能性がある。デンドリックマクロ分子リアクターを使用して調製されたジルコニア支持のサイズ制御されたCunOx(n = 12、28、および60)材料は、Cu 2p3/2領域のピーク強度に基づいて粒子サイズの減少に伴うCu–O結合のイオン性の増加を示した。超小型銅酸化物におけるCu–O結合の分極は、芳香環に結合したCH3基の好気的酸化においてサイズ依存的な触媒活性を提供する。最小のCu12Ox材料は、顕著な失活なしに優れた高いターンオーバー数(TON = 40,206)を達成した。

Enhanced Catalytic Performance of Subnano Copper Oxide Particles

Subnanoparticles (SNPs) with ultrasmall particle sizes (<1 nm) have potential to provide catalytic activity that is superior to that of nanoparticles. Size-controlled CunOx (n = 12, 28, and 60) materials supported on zirconia, prepared using a dendritic macromolecular reactor, exhibited increased ionicity of the Cu–O bonds with a decrease in size of the particles, which was suggested on the basis of the peak intensity in the Cu 2p3/2 region. The polarization of the Cu–O bonds in the ultrasmall copper oxides provides size-dependent catalytic activity in aerobic oxidation of the CH3 group bonded with aromatic rings. The smallest Cu12Ox materials achieved an excellent large turnover number (TON = 40 206) without any significant deactivation.

2020年1月23日木曜日

Chemical Reviewsのフロントカバーに採用

本研究室の総説がChemical Reviews誌に掲載され、Vol.120, Number 2のフロントカバー(おもて表紙)に採用されました。
https://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acs.chemrev.9b00188