2020年9月8日火曜日

異なる原子数の順次スクリーニング技術による量子材料探索

T. Tsukamoto, A. Kuzume, M. Nagasaka, T. Kambe, K. Yamamoto
J. Am. Chem. Soc. 2020, 142, 19078-19084.

サブナノ粒子(SNPs)は、極めて小さい粒子サイズが量子スケールにまで及ぶため、独自の特性と機能を示す。SNPsの合成には、原子性と組成の精密な制御が必要とされるが、これまでその達成は困難であった。私たちは最近、マクロ分子テンプレートを使用してこのような原子レベルの制御を実現する「原子ハイブリッド化法(AHM)」を開発した。革新的な量子材料の探求において、次のステップは機能的なサブナノ材料の実用的な創出が中心課題となる。本研究では、最新のAHMを用いて、順次組成を持つ単純なインジウム-スズ二元系に注目し、機能性SNPsの新しいスクリーニング技術を確立した。その結果、特定の組成でのみ熱力学的に不安定なインジウム種が生成され、耐久性のある発光機能をもたらすことが明らかになった。このようなサブナノサイズの物質における現象は、未知の量子材料の分野の発展において重要な役割を果たすであろう。

Quantum Materials Exploration by Sequential Screening Technique of Heteroatomicity

Subnanoparticles (SNPs) exhibit unique properties and functions due to their extremely small particle sizes which extend into the quantum scale. Although the synthesis of SNPs requiring precise control of atomicity and composition has not been accomplished, we recently developed an atom-hybridization method (AHM) that realizes such atomic-level control using a macromolecular template. As a next step in the quest for innovative quantum materials, the practical creation of functional subnanomaterials will become a central subject. In this study, we established a new screening technique for functional SNPs by focusing on the simple indium–tin binary system with sequential compositions using the latest AHM. As a result, it was revealed that a thermodynamically unstable indium species was produced only at a certain composition leading to a durable luminescent function. Such a phenomenon in subnanosized substances will play an important role in the development of the as-yet-unknown field of quantum materials.

2020年8月26日水曜日

貴金属多金属1ナノメートル触媒によるオレフィンの選択的ヒドロペルオキシド化の実現

T. Moriai, T. Tsukamoto, M. Tanabe, T. Kambe, K. Yamamoto
Angew. Chem. Int. Ed. 2020, 59, 23051-23055.

サブナノメートル(約1 nm)スケールの粒子科学は、世界中の注目を集めている。しかし、サブナノ粒子(SNPs)の精密な合成の技術的難しさのため、未踏の領域であった。最近、適切に設計されたマクロ分子をテンプレートとして使用することにより、SNPsを精密に合成する「原子ハイブリッド化法(AHM)」を開発した。現在、AHMによって得られた合金SNPsの化学反応性を調査した。貴金属元素に注目し、これらのSNPsが触媒するオレフィンの酸化反応を系統的に評価した。SNPsは、従来の触媒よりも穏やかな条件下でも高い触媒性能を示した。さらに、複数の元素のハイブリッド化により、ヒドロペルオキシド誘導体の形成に対するターンオーバー周波数と選択性が向上した。材料の小型化とハイブリッド化の観点から、一般に不安定なヒドロペルオキシドを提供するユニークな量子サイズ触媒について議論する。

Selective Hydroperoxygenation of Olefins Realized by a Coinage Multimetallic 1-Nanometer Catalyst

The science of particles on a sub-nanometer (ca. 1 nm) scale has attracted worldwide attention. However, it has remained unexplored because of the technical difficulty in the precise synthesis of sub-nanoparticles (SNPs). We recently developed the “atom-hybridization method (AHM)” for the precise synthesis of SNPs by using a suitably designed macromolecule as a template. We have now investigated the chemical reactivity of alloy SNPs obtained by the AHM. Focusing on the coinage metal elements, we systematically evaluated the oxidation reaction of an olefin catalyzed by these SNPs. The SNPs showed high catalytic performance even under milder conditions than those used with conventional catalysts. Additionally, the hybridization of multiple elements enhanced the turnover frequency and the selectivity for the formation of the hydroperoxide derivative. We discuss the unique quantum-sized catalysts providing generally unstable hydroperoxides from the viewpoint of the miniaturization and hybridization of materials.

2020年5月21日木曜日

高分子学会賞 受賞

山元教授が「2019年度高分子学会賞」を受賞しました。

受賞研究題目:剛直樹状高分子の機能と応用
受賞者:山元 公寿


2020年5月7日木曜日

卒業生からのメッセージ(2002年卒 松藤さん)

今の山元研はとても大きな充実した研究室になっていますが、私の在籍時(@慶應義塾大学)はまだ小規模研究室でした。何しろ、今岡先生(同期です)が学部~修士生だった頃ですから!山元先生は当時から物事をアピールするためのポイント、着眼点のユニーク性をハッキリ主張する姿勢を貫かれており、大変勉強になりました。

修士卒業後は日用品メーカーに就職しました。どんな人でも必ず毎日使うモノを通して見ず知らずの人の生活に「ちょっとの良いコト」をもたらすのは素敵だなと思ってのことでした。

入社後はずっとヘアケア商品開発に携わっています。入社時に印象深かったのは、院卒だけでなく美容師など様々なバックグラウンドの社員がいたことです。大学の雰囲気と異なり色んな価値観の人がいることが、一般のお客様の気持ちも考えやすい雰囲気だと感じ、すぐに大変気に入りました。海外メンバーとの交流機会も多くあり、国内外のお風呂場を見学したり、各国消費者の考え方や好みを学んだりしました。やはりお客様のツボをつかんでモノ作りをし、実際に評価頂けた時は嬉しかったです。

一方、思うようなモノが作れなかったり、アイデアが実現出来なかったりする情けなさもたくさん経験しました。そんな時には、常に周りの明るくプロフェッショナルな諸先輩方から多くを教わりました。自分が影響できることに集中しつつ、必要な助けを判断し、結果に対して責任を持つという姿勢を学んだと思います。

最近はいくつかの製品やプロジェクトに関わる立場となり、会社の強み弱みもより理解できてきて、今まで以上に、本当に価値あることに力を注がねばと思う日々です。

気づいたら入社からもう20年近く経ち、時代変化も感じます。例えば、私の入社時には院卒女性の先輩が非常に少なく、自分が将来、仕事と家庭を両立している姿なんて全く想像もできませんでした。実際には多くの方の理解とサポートで、仕事をしながら子供も無事大きくなり、本当に有難いと思います。今や、周りを見ると院卒女性社員が部署の半数以上を占めていて、子育てと仕事の両立を当然のように思える雰囲気が出来ているのですから、本当に大きな変化です。海外との交流の仕方も、商品のトレンドも大きく変わりました。

今は新型コロナウイルスが世の中を大きく揺さぶっています。様々な混乱もありますが、終息後の世界は色々な考え方、優先順位が大きく変わっていることでしょう。既存のフレームが揺らぐときこそ、今までしがらみが邪魔して実現できなかったことが可能になるかもしれません。だから個々人の「こうなるといいな」という想いはどうぞ大切に育ててください。山元研で日々鍛えている皆さんなら、今の研究に限らず、色んなことが実現可能と思います。影ながら応援しています。

2002年修士卒 
花王㈱ ヘアケア研究所
松藤 晶子 

2020年3月6日金曜日

日本化学会春季年会「若い世代の特別講演会」

神戸助教が日本化学会第100春季年会にて「若い世代の特別講演会」講演者に選ばれました。

2020年2月26日水曜日

化学工業日報「ガリウム原子13個クラスター」

Adv. Mater.誌に掲載された「ガリウム原子13個クラスター」に関する記事が2月26日発行の化学工業日報(4面)に掲載されました。

化学工業日報 (2020年2月26日 4面)

nanotoday "Raman spectroscopy stretches beyond the nanoscale"

Sci. Adv.誌に掲載された「高感度ラマンスペクトル計測」に関する記事がElsevierのジャーナルnanotodayのNews記事として特集されました。


nanotoday, 2020, 31, 100852 (2020年2月26日)